今回は2022年6月にネットで炎上したとある記事の話題です。
就活生を対象としたサイトにトラック運転手を含む12の職種を列挙して「底辺職」である旨、掲載されました。
「そう思っている人もいる」と冷静に受け止めつつ、現役トラック運転手の視点から思うところをまとめてみました。
トラック運転手を含む底辺職と言われた12の職種とは?
この就活サイトについては、炎上の後、当該記事を削除したみたいなので詳細は分かりませんが、その記事で「世間一般での底辺職業ランキング一覧」と称してリストアップされていたものが以下のとおりです。
底辺職①:土木・建設作業員
底辺職②:警備スタッフ
底辺職③:工場作業員
底辺職④:倉庫作業員
底辺職⑤:コンビニ店員
底辺職⑥:清掃スタッフ
底辺職⑦:トラック運転手
底辺職⑧:ゴミ収集スタッフ
底辺職⑨:飲食店スタッフ
底辺職⑩:介護士
底辺職⑪:保育士
底辺職⑫:コールセンタースタッフ
底辺職(例外):株・FXトレーダー
トラック運転手が底辺職と言われた理由
Twitter(現:X)で分かっている情報は以下のような感じです。
この中で底辺職に就くデメリットが3つ挙げられていました。
- 年収が低い
- 結婚の時に苦労する
- 体力を消耗する
この部分ついて、現役トラック運転手としては以下のように感じました。
「トラック運転手は年収が低い」という点
トラック運転手の給料は、アッパーがほぼ決まってしまっていると考えていいと感じます。その労力の割に給料が安いという意味であれば、確かにそれは事実だと感じます。
しかし、どういう視点で言っているのかで話は違ってきます。
この就活サイトの運営者は一企業の社長なので、その方と比較すれば、確かにトラック運転手の年収が低いと言われても否定するものではありません。
また一口にトラック運転手と言っても、車格も違う、勤務時間帯も違う、上場企業か中小企業かでも働きがいは違うなど、働き方は幅広いため、その収入を比較することはなかなか難しいと思います。
なので、年収が低いことをもって、その職業を底辺職と呼ぶに至るという思考は、私には理解できませんでした。
「トラック運転手は結婚の時に苦労する」という点
ここで言う「苦労する」というものが、何を指すかで意味が変わってくるでしょう。
年収が低いから挙式費用などを拠出するのに苦労する、ということなのか、あるいは、職業差別のようにトラック運転手のような職業に就いている人には嫁がせたくないと考える親が多いから苦労する、ということなのか。それ以外に何かあるのか。
いずれにしても、結婚は当事者同士の問題なので、外野がとやかく言う話ではないということです。
結局のところ、どんな職業に就いていても、お金の問題は避けられないはずだし、双方の親や兄弟なども本人同士が納得できていれば幸せであってほしいと思うのが大勢なら、職業が何であろうがあまり関係ないという話になると考えます。
つまり、結婚という人生のイベントは、どんな職業であっても苦労はするのでは?というのが私の結論です。
「トラック運転手は体力を消耗する」という点
トラック運転手が肉体系の職業であることは間違いありません。
しかし、だからといって、それがどうして底辺職ということになるのかは意味不明です。
それにどんな職業であっても、少なからず体力は消耗するものではないでしょうか?仮に事務職であってもパソコンや電話対応で体力は消耗すると感じます。
「お疲れ様です!」って社会人であれば当たり前に挨拶をしますが、これほど状況にあった挨拶もないように思います。
結局のところ、どんな職業だって疲れますよね、っていう話になるのかなと思います。つまり、それが底辺職と呼ぶ根拠としては乏しいのではないか、ということです。
トラック運転手が底辺職と言われても仕方ない6つの理由
現在トラック運転手をやっていて、もしかしたら、こういうことが底辺職という言われ方をする原因かなと思い当たることを6つほど列挙してみました。
- トラックであおり運転など危険な運転をする
- トラックを公道の邪魔なところに駐車する
- トラックの音がうるさくて近所迷惑になる
- トラックから路上にゴミを投げ捨てる
- 運転手の言葉遣いや態度が悪い
- 運転手の服装など見た目が悪くだらしない
その職業によっては、一般の人には理解されないこともあると思いますが、上記は少なくとも同じトラック運転手から見ても気にしなくてはいけないと感じることです。
トラックであおり運転など危険な運転をする
「あおり運転は犯罪です!」ラジオでもよく聞くフレーズです。もはや何も言い訳ができないことです。
大抵のトラックにはドライブレコーダーが装着されていますが、会社側からすると運転手を守るために付けているはずです。そして、ドラレコチェックなども抜き打ちでされたりするので、酷い運転をしていると指導が入るはずです。
しかし、そういうことに関係なく危ない運転をする、危ない運転をしてしまう人というのも一定数いることは事実だと感じます。
トラックを公道の邪魔なところに駐車する
トラックは車体が大きくて速度も遅めになることが多いです。状況によっては、とても邪魔になります。だから、そのことに批判する人もいるかもしれません。
でも、トラック運転手としては、そのことだけで非難されてしまうのは困ってしまいます。
しかし、公道に停める場合には気を遣います。邪魔にならないところに駐車することはありますが、想定していないところから車が出てきて結果的に邪魔になってしまうということはあり得るかもしれません。
一度、トラックを起因として嫌な思いをした人は、トラックを嫌いになってしまうこともあるかもしれません。
トラックの音がうるさくて近所迷惑になる
前記とも関連しますが、駐車した場所によっては、冷凍冷蔵機が作動中なら騒音問題を考える必要が出てきます。
あるいは、夜間の荷下ろしをする時の作業音による騒音問題も考えなければなりません。
トラックから路上にゴミを投げ捨てる
論外です。
国道の渋滞スポットなどの傍らに、コンビニ袋にゴミが入れられたものが散乱していたり、尿が入っているペットボトルがフェンスに挟まっていたりするのを見かけます。
こういうことをする運転手がいれば、印象が悪いのは言うまでもありません。
運転手の言葉遣いや態度が悪い
関西弁や年配の運転手などで最初は口が悪いと感じることもあったりしますが、話してみると悪い人ではなかったというケースは多いものです。
ただし、いわゆるヤンキーやチンピラみたいに嫌がらせをしてくる運転手も実際いますので、一般の人から見れば印象が悪くなるもの分かります。
運転手の服装など見た目が悪くだらしない
言葉遣いや態度は悪くはなくても、服装がだらしなかったりすると非常に印象が悪くなります。
荷積みや荷下ろしなど体を動かした後などには注意しているものですが、平時の時からだらしないとなると社会人として考えなければならないです。
まとめ
トラック運転手という職業が底辺職なのかは、人それぞれ勝手に考えればいいと思います。結局は主観の問題だからです。
ただし、職業差別はいけないことなので、職業に視点を当てるのではなく、その人物を見ることが大事なんだと思います。
最終的には、属人の問題ということになるのでしょう。トラック運転手として、プライドをもって一生懸命に仕事をすることが一番ということですね。
ちなみにトラックドライバー未経験者が、せっかくトラック運転手という職業に興味を持っていたのに、底辺職という偏見を聞いたことでその職業を諦めてしまうようなことがないようにお願いしたいです。